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奔流するイマジネーション――いしづかあつこの想像空間――

第一章 INTRODUCTION
〜一枚の絵から読み取れること〜

 

●アニメくんによるチェック!

   そもそも、私が衝撃を覚えたのは、空と白がディスボードという異世界に引き込まれた時の、このシーンだった。

   これまで多くの場所を様々な作品で見てきた自分だが、こんな光景にはお目にかかったことがない。真ん中にいる主人公・空と白を取り囲むのは、乾ききった山々。そこに緑や木々は存在しない。にも関わらず、うっすらとした靄がかかっているように見える。緑がないということは、水分がないはずなのに靄は掛かっているということだ。どう考えても矛盾している。

   そしてなんといっても驚くのは、はるか奥にある巨大なチェスの駒らしきものだ。本来駒というものは、人間の手のひらに収まるサイズ。これだけ大きな駒がそびえていると、まるで人間――ここでは中央の空と白だが、のほうが駒であるような、そんな位相が逆になっているような錯覚を覚える。

   自分が本当に「これまで持っていた常識を捨てなければいけない世界」に来てしまったのだという孤独。そして同時にこれからこの世界で何が待っているのだろうという興奮。その2つを同時に、痛切に感じる。一体どういう意図で、こういった世界を描こうと思ったのか? いしづか監督に聞いてみよう。

 

●いしづかあつこ監督との問答

いしづか「フウタさんがおっしゃっている『ノーゲーム・ノーライフ』の世界については、原作側からできるだけ新鮮に感じられる世界観を作ってもらいたいという要望があったんです。原作は小説なので絵の描写がありませんよね。それもあって、一から世界を構築する作業はいわば必然だったんです」

フウタ「でも、そんな簡単に世界なんて作れるものなんですか?」

いしづか「そこで必要になってくるのがイメージラフなんです」

フウタ「イメージラフ?」

いしづか「作品によって色々な定義があると思いますが、『ノーゲーム・ノーライフ』の場合は、登場する場所のイメージをスタッフ同士で共有するために描かれるラフな絵のことです。今回は私の方でもある程度描きました。細かくお話していくこともできますが、もしかしてこのコーナー、毎回こんな話をしていくんですか?」

フウタ「そうですね。今決めました。今回は『ノーゲーム・ノーライフ』の世界観をイメージラフから紐解くというお題でいきましょう」

 

   そんなフウタの無茶ぶりにも動じず、笑みまで浮かべるいしづか監督。その真意とは? 『ノーゲーム・ノーライフ』イメージボードの世界。
   めくるめくそのイメージの奔流を、待て! 次回!

 

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