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おぎにゃんと学ぼう! アニメの作り方
■第2回 原画って何だにゃん?(後編)

おぎにゃん
アニメのエンディングテロップに、たまに第二原画というのが出てくるにゃん。あれは何だにゃ?

吉松
よいとこに気がついたね。

おぎにゃん
にゃほほ! もっと褒めるにゃ!

吉松
あれは第二原画システムと言ってね、レイアウトを描いて原画まで、という作業工程のうち、原画の部分を他の人にやってもらうというものだよ。「レイアウトの決め込みまではやった。だけど原画を描くスケジュールはどうしても取れない」というときに、他の人に分担して描いてもらうんだ。第一原画を担当した人がレイアウトとおおまかな動きをつけたラフな原画を描いて、第二原画を担当する人が線を整理したり、間に必要な原画を足したり影をつけたりするんだ。でも第一原画と第二原画の役割分担はケースバイケースで、実際には色んなやり方があるんだよ。

おぎにゃん
ほにゃ〜。一言では言えないのだにゃ。

吉松
昔だったら安彦さん(注1)とかがよくやっていたのかなぁ。しばらく見かけなくなっていたんだけど、最近また増えてきたみたいだね。

おぎにゃん
なんでにゃ?

吉松
最近のアニメーションはスケジュールが非常に切迫していて、この第二原画システムを取らざるを得ない状況になってきているんだね。それと、「第一原画までなら、そのスケジュールでやってもいい」と言ううまい人が結構いたりして(笑)。

おぎにゃん
そういえば、第二原画はクレジットされるけど、第一原画ってクレジットされないにゃ。

吉松
確かに、原画、第二原画とテロップが流れるだけだから、誰が第一原画かわからないね。けれど、原画のクレジット自体もともと全員の名前が出ているわけじゃないんだ。

おぎにゃん
し、知らなかったにゃ! じゃあ、テレビシリーズのアニメ1話あたり何人くらいの原画マンが関わっているのにゃ?

吉松
作品にもよるけど、近年のものだと平均して20人はいるかな。多ければ多いほどスケジュールがなかったんだなぁってことがわかる(笑)。

おぎにゃん
映画になると、長編だし人数はどーんと増えるんだにゃ! 100人くらい?

吉松
いや、作品にもよるけど、必ずしも人数が増えるわけではないんだ。映画は制作期間が長いしスタッフを抱え込むからね。テレビアニメ5話分の尺だったからといって、単純に5倍の数の原画マンが関わっているわけじゃない。

おぎにゃん
ほにゃ〜。では、テレビアニメ1話、30分で原画の枚数の方はどれくらいになるんにゃ?

吉松
原画は枚数では数えないんだ。

おぎにゃん
え、何でにゃ?!

吉松
通常アニメーションの作画枚数は動画でカウントし、それによって、その作品のだいたいの予算が決まるんだ。だから、動画の枚数は数えておかなくてはいけないけれど、原画の枚数をカウントする必要はないんだよ。およその目安としては、だいたい300カット前後の原画を描くかな。動画の枚数は作品によるけどだいたい3500〜4000枚。でも、その枠ではなかなか収まらないみたいだね。

おぎにゃん
! そんなに枚数があっても足りないんだにゃっ。

吉松
アクションの多い作品や原画マンがノリにノッちゃったりすると、ついつい動かし過ぎちゃうんだね。

おぎにゃん
ほにゃ〜。原画と動画ってあまり区別がつかなかったけれど、全然違うんだにゃ〜。吉松さんは動画から原画になったときってうれしかったのかにゃ?

吉松
うれしかったよ。僕はもともと原画をやりたかったからね。

おぎにゃん
原画の作業で楽しいことってなんだにゃ?

吉松
吉松さんの作業風景。…すごい机だにゃ楽しかったり苦痛だったり色々あるけど、やはり絵を描くことが好きだから、そこが大きいだろうね。描いた絵をぱらぱらと動かして見たときに「かっちょいい〜!」と思うこと(笑)。で、作品がフィルムになったときに「これ僕が描いたのー!」と満足したり、クレジットが流れたときに「これ僕の名前ー!」と喜んだり。そういうのが楽しみかな。

おぎにゃん
それは作画監督する喜びとはまた違うのかにゃ?

吉松
原画は自分の作業した部分が目立っていればいいや、ウケればいいやって感じかな。全体を見るというよりもパートが気になるんだよね。周りのことは考えない(笑)。

おぎにゃん
にゃ。おぎにゃんも友だちと一緒に写真を取ったとき、自分の写りばかり気になるにゃん。今日の勉強はここまでにゃん。吉松さん、ありがとうございましたー。

 

注1)安彦良和さん。『機動戦士ガンダム』などでキャラクターデザイン・作画監督を務めたアニメーターさん。現在は漫画家としても活躍中にゃ。

今回は原画について勉強したにゃ!
次回は「動画」についてだにゃん。動画の回はちょっと難しくなるかもしれないので、今のうちにしっかり復習しておいてね。おぎにゃんは作画面に詳しくなってきてウキウキにゃん! また次回、お会いするにゃー! ばーいばいにゃん。
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