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監督のまっすーが、制作現場についてお話するよ!
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第20回 声優さんというおしごと
2018年8月25日

みんな、きょうもはじまったよ!アニメのつくり方!
まずはじめに。今日のお話は声を入れて説明するとわかりやすいんだけど、ゴメンね、ちょっと「おとなのじじょう」でのせられないんだ!理由はアニメに詳しい、みんなのお兄さんや、ともだちのお姉さんなんかにきいてみようね!
きょうは長くなりそうだから、さっそくはじめていくよ!ぜんかいやくそくした、「声優(せいゆう)」さんのおはなしだよ!
声優さんは台本の中に書かれている言葉や行動から、登場人物の気持ちをそうぞうしながられんしゅうをするよ。台本の前後のながれ、声優さんはこれを分析していくんだね。たとえば、こんなアフレコ台本だとするよ。ちょっとがんばって読んでみて!

〇学校
チャイムの音。教室で次々と帰ろうと準備している制服姿の女子生徒たち。高校生っぽい。
まり子「ね!ほんとなの!きょうだって宿題わすれたけど、怒られなかったし!」
女子生徒A「へー、よくあたるんだね、そこの占い」
まり子「うん、だから今日も寄っていくんだ!」
〇夕方・学校帰りの道
女子生徒A「じゃあね、まり子~」
女子高生Aがまり子と手を振って別れる。
カバンを持って歩いているまり子。4階建てのビルに入る女子生徒。占いの館のドアが見える。店に入ってくるまり子に声がかかる。
女の人の声「どうぞ」
おや?とさらにカーテンをくぐって別室に入る女子生徒。
まり子「あれ?今日はピナー先生は?」 
占い師の恰好をした女の人がほほ笑む。
女占い師「今日はピナー先生はいらっしゃいません。かわりに私が留守を預かっています。名前はレーロと申します」
〇夜の家・「国澤」の表札
二階の明かりが消えている。
〇暗い部屋の中
パジャマでふとんをかぶっているまり子。
まり子「……気になって全然眠れないよ…」
〇回想・占いの館
目を丸くして驚いてるまり子。
占い師「明日あなたの買う宝くじは百万円ですよ」
〇まり子の部屋
まり子「どうしよう、ホントにあたっちゃったら……」
枕を抱きしめるまり子。
〇夜が更けていく家
まり子の声「宝くじ…明日かぁ…」

……はい、みんな、おつかれさま!がんばってよんだね、えらい!
……おや?そこの読み飛ばしたきみ!はいっ、やりなおし!戻ってちゃんと読んで~!?
べんきょうねっしんな声優さんたちは、みんなが読んだよりもさらにアフレコ台本をちゃんと読んでれんしゅうするよ!
アフレコ台本をちゃんとよく読むと、前後の流れからこんな事がわかるよ。
◇まり子ちゃんは占いは信じる方だ。
◇でも、それはピナー先生がよくあたるから。
◇まり子ちゃんはよくピナー先生に占ってもらってるらしい。しかもよくあたってる。
◇けど、ピナー先生以外の占いを信じないわけでもない。
◇ひょっとしたら、ほんとに宝くじが百万円当たるかもしれないと思ってる。
ちなみに、このお話のさいごが知りたいかな?それはこんなかんじだよ!

―――まり子ちゃんは結局次の日、一枚だけ宝くじを買うんだ。……でも、外れちゃう。まり子ちゃんは「やっぱりピナー先生じゃないと当たらない!レーロさんはだめね」と後日ピナー先生に言う。でもじつは、宝くじを買いに寄り道したその日には、もうひとつの未来があったんだ。まり子ちゃんがいつもの帰り道で帰ったら、ぐうぜんぶつかった人の有名な絵画を弁償しなくちゃならなかったわけ。その値段はなんと「百万円」。つまりもともとマイナス百万円だった未来が、宝くじを買ったことによってプラスマイナスがゼロになったから百万円の価値があったというオチ―――

さてここで。いま、みんなはこのお話の結末まで知ったよね?同じように、声優さんはアフレコ台本を最後まで読んでれんしゅうするから、結末までお話を知っているよ。すると、どうだろう?占いを信じてる派のまり子ちゃんが「ホントに百万円あたるかもしれない…!」とドキドキしてる気持ちになりきれなくなっちゃう。だって宝くじが外れる結末を知ってるから。しかたないよね。おどろけないよね?だけど、この時点で作品中のまり子ちゃんは宝くじが外れた結果を知らないよ。とうぜん「ドキドキして眠れない」お芝居であるひつようがあるんだね。だって、その方がみてるみんなも一緒になってドキドキできるから!だから、声優さんはそのキャラクターになりきって「そのしゅんかんのまり子ちゃんの気持ち」があふれる感じにれんしゅうするよ。
つまり、「きっとドキドキしてるから、ドキドキしてそうな声をだそう!」じゃないんだね。
なんていうのかな、そこにふさわしい声を想像してあてている、じゃなくて「そのしゅんかんの気持ち」を内側から絞り出しているんだ!
アフレコではよく見る光景なんだけど、声優さんたちはおどろいた芝居をするときに、ほんとに目を真ん丸にしておどろいた顔してたりするよ!しょぼーんとした芝居のときは首をうなだれたりもしてるね。だって、気持ちがあふれてるからね!しぜんに体がそうなっちゃうんだね!そうやってひとこと、ひとことにたましいを吹き込んでいるんだ!

ぼく、ますはら監督も今、なんだかあふれて来たよ!すっごい、おなかさわってる!
ますはら監督「おなかすいたーーっ!」
そろそろごはん食べるから、きょうはこのへんにしようっと。おっとそうだ、次回は声優さんのおはなしのつづき、アフレコ現場のお話しようかな!たのしみにまっててね。じゃあっ、またねー!!

MADHOUSE
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