食人鬼
太古から存在する一族。何らかのきっかけで人間の姿から怪物の姿に変身し、人間を襲う。変身のきっかけは性的な興奮であったり、特定の食べ物であったりと様々。自分の意志で変身できる者もいる。
食人鬼達は自分の素性を隠して、人間として暮らしている。しかし、時々、我慢できなくなって変身して人間を襲ってしまうのだ。変身した食人鬼は、身長がおおよそ2メートル。体長はそれ以上。手足が大きく、特に手の部分は、それだけで普通の人間と同じくらいの大きさがある。
食人鬼は個体ごとにかたちが違い、ツノが生えているものもいれば、大きなコブのあるものもいる。基本的に頭部は硬い。食人鬼の生命の源は腕であり、別の部分をいくら傷つけても再生してしまう。頭を切断されても死なないのだ。そのため、鬼封剣が食人鬼を倒す場合は、まず両腕を切断してから止めを刺す。切断された腕は自らの意志で自由に動き回り、放っておくと再び宿主にくっつき再生、または他の人間などに取り付こうとする。
新種の食人鬼
近年になって新種の食人鬼が増え始めている。体格は純粋な食人鬼よりもやや小さく、華奢。通常の食人鬼には目がないが、新種の食人鬼には目もある。また、純粋な食人鬼と違い、死ぬとすぐに人間の姿に戻ってしまう。人間の姿に戻った新種の食人鬼の死体を解剖してもそれは人間と変わらない。
ケモノヅメ
鬼封剣に代々伝わっている秘術。食人鬼の生命力を自分の身体に取り込む技である。ケモノヅメがどんなものなのかは鬼封剣の中でも限られた者しか知らない。一馬はそういった名前の技がある事のみ知っていた。
鬼封剣
正式な表記は「愧封剣」。食人鬼を狩るための組織であり、1000年以上の歴史がある。常に幕府や政府によって保護されてきた。その存在は、食人鬼の存在と同様に一般には知られていない。鬼封剣は武芸者集団であり、それぞれ剣、棒術、縄、拳法などを訓練された達人である。リーダーは鬼封剣本部道場の館長であり、先代の館長が俊彦達の父親である桃田十蔵。館長は神代とも呼ばれる。
鬼封剣が食人鬼を狩る行為を「鬼封」と呼ぶ。鬼封の時、一体につき一本の指の爪を印として道場に持ち帰るという習慣がある。この25年、鬼封はほとんど行われておらず、鬼封の経験者は十蔵と大葉のみだった
近年の鬼封剣は、警視庁から回してもらう僅かな予算で運営。食人鬼に関する情報は特殊警察から回してもらっている。ただし、鬼封剣は警視庁や特殊警察とは直接やりとりはしておらず、掃除屋のリーダーである大葉がやっている。
掃除屋
鬼封剣関連の別組織で、倒された食人鬼の遺体の回収が主な任務。現場の片づけ、鬼封剣と政府との橋渡しも担当。25年前に大葉久太郎が設立した組織である。
鬼封剣道場本部
現在の本部道場は、25年前に銭湯の建物を移築して建てられたもので、道場のあちこちには銭湯の名残がある。25年前の事件で焼け落ちた旧道場は、歴史のあるものだった。焼け残った装飾が、今も道場の壁に飾られている。
現在の道場には館長一家と若手メンバーが住んでいる。若手メンバーは全部で20人ほど。それと別に通いのメンバーがおり、引退したOBも道場に顔を出す。鬼封剣の支部は地方にもあるが、ここ20数年、ほとんど食人鬼が出現していなかったため、その大半が有名無実と化している。