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第五回 お勧めの一話
かるた監修:木本景子

お勧めの一話

かるた監修通信全5回の最終回は監修としての推しの一話です。私の推しは第十八首です。名人位・クイーン位決定戦の大舞台の一話。第二戦目で、最終盤の運命戦までもつれ込む一試合です。

一般の大会では、進行をスムーズにする為に会場毎に使う札が予め50枚組まれているのですが、名人位・クイーン位戦ではそれぞれの対戦で100枚の中から各選手が25枚ずつ札を選びます。
そこで、場にある札がそれぞれ違うこと、運命戦まで戦い抜くということもあり、空札を含めた100首の読む順番の成立を考えることが他の試合にはない難問で、監修に時間が掛かりました…!
苦労も詰まっており、思い入れのある一話となりました。様々な感情も見られて惹き付けられる濃い試合を、たっぷりとお楽しみ頂けたら幸いな一話です!

かるた監修通信、お読み頂きましてありがとうございました。全5回お楽しみ頂けましたでしょうか…?「ちはやふる3」を通して、少しでも競技かるたの世界に興味を持って頂けたり、楽しさを見つけて頂けましたら嬉しいです。

第四回 読手の世界
かるた監修:木本景子

読手の道

競技かるたで、無くてはならないのが読手(どくしゅ)の存在。作中にも沢山の読手が登場しています。今回は、そんな読手の世界を少しご紹介。

読手には選手と同様に階級があり、B級公認読手→A級公認読手→専任読手と階級が上がっていく。読手になるには、選手としての段位も必要。
B級公認読手になるには、所属会の会長推薦や専任読手の推薦、また、一般社団法人全日本かるた協会が主催する「読手講習会」に参加する事も必要である。

A級公認読手と専任読手は選考会で選ばれる。
読みには、
・音の高低…1音目を低く、2音目を高く読む。
・秒数…下の句4秒台、下の句の最後の1音を3秒伸ばす(余韻)、間1秒、上の句5秒台の「4-3-1-5方式」と呼ばれる基本パターンがある。
・句や文字の切り方…上の句の5文字は切らないで読む。大山札は2句目までを一気に読む。
といったいくつかの決まり事があり(※)、これらのポイントや、声量・発音の明瞭さ・読む速さ等、選手にとって取りやすい読みであるかを採点され合格ラインに達していればA級公認読手となれる。
A級公認読手の選考会は定期的に行われるが、専任読手の選考会は不定期であり、尚且つ合格人数は極端に少ない。これまでに専任読手になられた方は(私の知る限り)全国で10名…!

※五版〈改訂版〉『小倉百人一首 競技かるたの読み方』 発行:社団法人全日本かるた協会/競技かるた部(読唱)より
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これは、私個人のお話ですが…
私は高校3年生の時にA級公認読手となったのですが、将来は作中に登場するキョコタン(山城今日子さん)や今回演じさせて頂いた(!)牧野美登里さんの様に女性ならではの柔らかさや美しさ、強さのある読みが出来る専任読手になりたいと思っております…!

第三回 かるた監修の仕事
かるた監修:木本景子

かるた監修の仕事とは

「監修」とは言うものの、どの様な仕事をしているのか想像がつきにくいかと思います。そこで、どういった仕事だったのか紹介させて頂きたいと思います。

主な仕事はかるたシーンのチェックと、配置図作成、アフレコ時の立ち会いでした。

まずは、絵コンテが出来上がると監修リスト(何カットにかるたシーンがあるのか、配置図作成以外の場合は何が必要かを書き出して頂いたリスト)と共にデータを送って頂きます。
絵コンテを拝見して、札の枚数や払う場所、動き等かるたにまつわるシーンのチェックをします。(ex.構えや払いの手の位置や形、出札の方向と札を払った後の陣の形など…)

各キャラクターの定位置や原作を元にし札の配置図の作成、出札や送り札・払う際に飛ぶ札・枚数の指定、手の形や札を移動する際の動きの参考動画を作成もします。

アフレコ時は、決まり字や用語の読み方・アクセントの確認、読手役の方の読み方確認等を行います。
暗記中や試合後等、札のつぶやきがある場合には、場にある札の書き出しも行いました。

映像では一瞬であったり、奥の方で見えない対戦であっても1組1組札の配置を作らせて頂きました。定位置がないキャラクターは新たに定位置を作成したり、様々な配置を組み込んで作成致しました。並んでいる札や舞っている札にも注目して楽しんで頂けますと嬉しいです。

第二回 競技かるたとは
かるた監修:木本景子

競技かるた

競技かるたとは、小倉百人一首を用いた1対1の対戦競技です。始めに裏返して混ぜた状態から1人25枚ずつ札を取り、各々の陣に文字が自分の方に向く様にして任意の配置で並べます。陣とは87cmの横幅、上中下段(各段の間は1cm/畳の目1マス空ける)と縦に3枚札が並ぶ範囲の事を言い、自分の側の陣を「自陣」、相手側の陣を「相手陣」「敵陣」と言います。
札を並べた後は15分の暗記時間があり、配置や戦略立てをする時間となります。13分経つと手を動かしたり素振り(体を動かして札を取る動き)をしてもOKになります。
15分経つと、開始の合図でお互いに礼をして挨拶をし続いて読手(どくしゅ)にも礼をして挨拶をし、競技が始まります。場に並ぶのは50枚ですが、読手は100枚の札をランダムに読みます。
自陣の札を取ると1枚減り、相手陣の札を取ると自陣から任意の札を1枚送る事が出来ます。こうして札を減らしていき、自陣の札を先に0にした方の勝利です!

「どうすれば取りになるのか」や、「お手つき」、その他細かなルールや作法については、一般社団法人全日本かるた協会のHPをご覧下さいませ。

【HOW TO PLAY かるた】
http://www.karuta.or.jp/howto/howto1.html

【競技関係規定】
http://www.karuta.or.jp/kitei/index.html

第一回 自己紹介
かるた監修:木本景子

ご挨拶

かるた監修を担当致しました木本景子です。高校入学時、友人の誘いを機に見学に行った百人一首部の光景に衝撃を受け、競技かるたを始めました。多くの方が支えてくださったおかげで、3年間で選手・読手共にA級になることができ、近江神宮での高校選手権大会団体戦3位や全国高等学校総合文化祭にて最優秀読手に選んで頂く等、濃いかるた生活を送りました。現在も東京でかるたを続けています。

普段は、本作の主人公・綾瀬千早役の瀬戸麻沙美さんと同じ事務所で声の仕事をしています。

実は…高校生時代、近江神宮の高校選手権に選手として出場した際、アニメ開始に向け試合を見学にいらっしゃっていた瀬戸さん、浅香監督、日本テレビ中谷プロデューサーに現場でお会いする機会があったのです。そして、声優を目指している事を瀬戸さんにお伝えしていたのです。
同じ事務所所属になった際には瀬戸さんに、そしてこの度アニメに携わらせて頂き現場にて監督や中谷さんにその時の事を告げると驚かれ、当時のお話も出来て不思議な幸せな気持ちでした。

バイブルでもある「ちはやふる」の、念願だったアニメに素敵な監督・スタッフ・キャストの皆様と共に携わる事が出来て感無量です!
熱量のあるかるたシーンご堪能頂けますと幸いです!

MADHOUSE
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