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『フォトカノ』前田一也役・島ア信長インタビュー

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 今回は絶賛放送中のTVアニメ『フォトカノ』より、主人公の前田一也役・島ア信長さんにお話を伺いました。作品も後半に差し掛かり、まさに佳境の中、島アさんが思う『フォトカノ』の面白さ、とは?お楽しみください!

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―― 本日は、インタビューよろしくお願いします。いきなりですが、以前、果音役の伊瀬(茉莉也)さんのインタビュー(後日掲載予定!)を録らせていただいた際、メッセージをいただいておりまして。

島ア お、何でしょうか?

 

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―― とのことです。

島ア あはは(笑)。

―― せっかくですので、前田一也として返しの言葉をいただいてもよろしいですか。

島ア だっつん(前田一也のあだ名)って意外と、こういう時は普通の返しをするんですよね。そうですね……。はい。

―― お願いします!

島ア 「何言ってんだよ果音! 言われなくてもちゃんとやるよ!」

―― おおお〜。

島ア こんな感じでしょうか?例えば九堂先輩だったら、「違う! エッチではない! ギリギリのエロスだっ!」とか言いそうですけどね(笑)。

―― ああ、言いそうですね!

島ア だっつんは案外普通な時は普通です(笑)。

―― ありがとうございます! では、今日はマッドハウスのホームページ掲載の取材ということで……マッドハウスについて、何か印象などあれば教えていただければと思うのですが。

島ア とても安直な回答で申し訳ないのですが、最初の印象はカッコいいお名前だなというものでした(苦笑)。

―― いえいえ(笑)。社名の由来は色々あるんですが、アニメ狂と言いますか、それぐらいの気持ちでアニメを作ろうというような意味合いがありまして。

島ア あぁ! マッドな! マッドな野郎どもの!

―― マッドな野郎どものハウスだよということで。作品リストを持ってきているのですが、いかがでしょう。見たことのある作品などありますか?

島ア すみません……。正直に言うと、声優になるまではあまり制作スタジオを意識して見ていなくて……。おお、『家なき子』! 『宝島』!

―― 出ア統監督の作品をやってまして……。

島ア すごいですね! おお! 『カードキャプターさくら』! 子供の頃放送してましたよ。

―― 子供の頃ですか。なんというか、世代の違いを感じます(笑)。

島ア あ、『はじめの一歩』も好きでしたし、知ってるやつばっか……り……えっ!? えっ!? 『アカギ(闘牌伝説アカギ〜闇に降り立った天才〜)』作ってらっしゃるんですか!

―― ええ。

島ア 『アカギ』キタ━(゚∀゚)━! 『アカギ』!!

―― いや、そんなに喜んでいただけるとは……。お好きなんですか?

島ア ええ、凄く! うお! 『(逆境無頼)カイジ』うおおおおっ!

―― このインタビューがそういう方向性になるとは思いませんでした(笑)。島アさんがご出演されるマッドハウス作品は、『フォトカノ』が初めてだと思うのですが……。

島ア ええ、ありがたいことです。先程僕が反応した『アカギ』や『カイジ』、それに『デスノート』も、極限状態の人間の心理を描いているじゃないですか。マッドハウスさんは会社名の由来通り、そういう人の狂気のようなものもしっかりと描いてらっしゃるスタジオなんだなと思いました。『フォトカノ』を見ていても、表情が豊かですよね。悪い表情も巧いみたいな(笑)。

―― ニヤリとした笑みですね。

島ア ええ。例えば、だっつんが室戸先輩を脅す所だったら、急に影絵になって、「フハハ!」という状態になったりとか。そういうメリハリがありますよね。

―― ありがとうございます。

 

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―― では、島アさんが演じていらっしゃる前田一也についてお話伺いたいのですが。前田一也役に決まったという時に、どんな第一印象をお持ちになりましたか。

島ア もちろん嬉しかったのですが……不安でもありました。というのもゲーム版「フォトカノ」ではだっつんには声がなかったもので。

―― ゲーム版ではプレイヤーがイコール主人公ですからね。ボイスキャストもありませんし。

島ア はい。周りのキャストの方々はゲームの時にもうキャラクターができあがってらっしゃるので、その中に新しく僕が入っていくというのは怖い部分もありました。溶け込めるのかなと。なので、できるだけ早めに雰囲気を知ろうと思って、お話をいただいてすぐ原作をプレイしました。

―― 原作はいかがでしたか?

間咲ののか島ア どのキャラもとても魅力的且つ個性的で。僕は特に間咲ののかというキャラが好きなんですよ。公言してますけど(笑)。彼女にハマったおかげもあって、「フォトカノ」をいちプレイヤーとして大いに楽しむことができたんです。なので、自分なりに世界観を理解した上で初回のアフレコに臨むことができました。


―― そうですか。

島ア それと、僕は声優を目指すきっかけが、九堂(博道)先輩役の緑川光さんだったんです。だから緑川さんと初めてメインキャラクターでご一緒だっていうのもあって、大変緊張したのですが、それ以上に頑張ろうって思いました。

―― 前向きな気持ちで演じることができたんですね。その前田一也はご自身の中でどういう人柄だと思って演じてらっしゃいますか。

島ア 第1話の時はだっつんが写真部の暴走を押さえるような役割に回っていたんですよ。

―― ええ。1話のアフレコインタビューが『フォトカノ』公式サイトにもアップされていますが、その時は「普通の高校生に近いですね。極端に真面目でも極端に変態でもない」と答えてらっしゃいましたよね。

島ア 実はその時と今では認識が大きく変わりました。

―― あ、そうなんですか?

島ア はい。第1話の時は写真部の面々が面白いことをして、僕とヒロインは青春担当で、まったりとやっていく作品なのかなと思ったんですよ。求められたお芝居も、ナチュラルでフラットなものだったので。

―― 確かに1話はそんな感じでした。

室戸亜岐島ア でも2話からは……凄いことに(笑)。特に、だっつんが室戸先輩を脅す辺りからは「なんだと!?」みたいな。

―― 「不正登校」と室戸先輩をやり込めて、彼女の弱みを握るんですよね。

島ア にも関わらず、求められたお芝居は相変わらずナチュラルでフラットなまま。その上さらに「爽やか」なものが求められたんです。だっつんがちょっと悪いことをしている時でもですよ。


―― 2話での前田の最後のセリフも「こうして俺は、室戸先輩の弱みを握った」って爽やかに言っていますよね。

島ア そうなんです(笑)。それで考えたんですが……だっつんに悪気はないし、狙ってやっている訳でもない。あくまでこの子は天然で、写真に対して純粋な子なんだろうなと。だけどやっていることと、爽やかな芝居のギャップがあって。言ってしまえば、シーンによっては「爽やかゲス」になってるんじゃないかなってことなんですけど(笑)。それを言ってしまってホームページに載せるのは宜しくないと思うので……。

―― いや「爽やかゲス」、いただきましょう。

島ア ええっ(笑)。でも本当にだっつんは素でやっているだけなんだなと思うんですよ。写真を撮っている時でも、鼻の下を伸ばしているシーンが意外なほど少ないんです。

―― 確かに。ほとんどないですね。

島ア お芝居も、ちょっとエッチな状態になっても、いわゆる鼻の下を伸ばした演技を求められないんです。ほとんどが爽やかにお願いしますと。

―― そこはブレないんですね。

島ア あくまでだっつんは、純粋に彼なりの美を求めているだけで、エロスを求めている訳ではない。ちょっとひどいことをしても、実は本人は爽やかにニコニコしてて、意外と女の子達も嫌がらないっていう。

―― ははは(笑)。

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島ア まさに恋愛ゲームの主人公なんだなって思います。それぞれの女の子に対して、ゲームでいうところの「正解の選択肢」を自然と選んでいる。アニメでも個別ルートに入ってからは、ヒロインによってだっつんの性格がかなり変わっているんですよね。実際原作ゲームでも、選択肢で言動を選べるし、最初に性格も選べるじゃないですか。

―― 原作ゲームではそうですね。

島ア プレイヤーごとに違う前田一也君が存在する。アニメ版でもそれが表現されているんだと思います。

―― 恋愛ゲーム原作のアニメ作品でも、アニメにする際、物語の整合性を取るためどこかで性格や感情の改変をすることが多いですよね。

島ア だっつんの場合、相手によって本当にガラッと性格が変わるんです。特に5話以降の個別ルートに入ってからは、だっつん自身もそうですが、作品自体の雰囲気もヒロインごとに大きく変わっていて。

―― そうですね。

島ア だから、だっつんは主人公だけど、毎回全力で各ヒロインに併せた立ち位置をとっているんですよ。相手によって立場や性格まで変えていく。主人公だけどバランサーでもあるんです。そう考えていくと、爽やかなお芝居を求められたのも、納得だなと。えっちぃところで、あまりに鼻の下を伸ばしたり、いかにも悪そうに演じてしまったりすると、だっつんが前に出すぎてしまうので。やりすぎないお芝居が大切なんじゃないかと思っています。

―― なるほど。演じている時に気になさっているのはそういうところですか。

島ア そうですね。自身の役割を自覚して、周りとのバランスだったり、その話数ごとに求められるものや、見せ方を意識して演じさせていただいています。

―― 本作は、割と特殊な脚本作りだったり、演出だったりすると思うのですが、その辺りについては何か思うところはありますか。

島ア 『フォトカノ』の台本って面白いんですよ。

―― ええ。

島ア 正直、毎回家で本読みしていても、爆笑しちゃって(笑)。こんなに台本だけ読んでいて爆笑するのは初めてなんです。スタジオでもみんな笑っていますし……いやセンスがあるというか、面白いなと。

―― ええ。台本を読むとかなりびっくりしますよね。

島ア 先ほど言った「ヒロインごとにだっつんが全力で併せていく」からこその面白さがある。ここまで徹底したやり方は初めてなので、「新しい面白さ」だなって思います。

―― 見たことないですね、こういう作品は。

島ア あとはギャップですかね。今、ギャグ部分をフィーチャーしましたけど、ちゃんと青春してる時は青春していて。例えば僕の好きなののかの回は本当に爽やかな青春の物語でしたし、室戸先輩だってあんなに脅していたのに、最終的にはとてもいい話になりました。『フォトカノ』のそういうギャップがいいなって思います。コメディなところから青春なところまで。

―― なるほど。

島ア だっつんが前に出すぎないナチュラルでフラットな存在だからこそ、そういうギャップや、ヒロインごとの青春にも違和感なく対応できるのかなって思います。それから演出面ですと、アングルはやはり凄くこだわってるなって思いますね。

―― ああ。カメラワークも含めて、レイアウトは凝っていますよね。

島ア ええ。さすが『フォトカノ』。写真を題材にしているだけあるなと思いました。フォトセッション中はもちろんなんですけど、そうじゃないシーンでも凝っていると感じます。「あ、ここ(の角度)から映すんだ」みたいな。それは女の子に限らず、男でもです。例えば1話のだっつんのどちらの部か決断するシーンでの上からナメるようなアングルとか。

―― フォト部に入るか、写真部に入るか……どうする? という、広角目のレンズのところですね。

島ア はい。女の子の魅力的な撮し(うつし)方もよく分かってらっしゃるんだなと思いますし、本当にカメラワークが面白いなって思いながら見ています。

 

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新見遙佳

―― お話が少し変わりますが、だっつんから見た女の子というところもお伺いしたいです。幼なじみである遙佳について、だっつんはどんな思いを持っているんですかね。

島ア まず演じていて思うのは、だっつんはそこまで鈍くはないなって。どのキャラに対してもそうですが、遙佳に関しては特にそうですね。


―― そうですか? 遙佳からはずっと積極的なアタックを受けていましたが、はっきりしなかったですよね。

島ア だっつんは、幼馴染なのに「新見さん」って呼んじゃうくらいに、気後れしているというか、新見さんのことを遠い存在だなって思ってしまっていたんです。自分が釣り合わないという意識もあったし、昔のトラウマもあった。

―― 子供の頃、遙佳とサッカーをしていて、男女を意識しちゃったんですよね。

島ア はい。その後も周りにからかわれてしまったり、「あいつら釣り合わねえよ」って言われてしまったこともあって。遙佳のアタックもちゃんと分かっているんです。「新見さんの気持ちは嬉しい」って彼自身モノローグで言ってますし。

―― 確かに、そういうセリフがありましたね。

島ア 遙佳からの想いには何となく気づいているのですが、だっつんの方が踏み切れない。遙佳があれだけ踏み込んでくれたからこそ、だっつんも一歩を踏み出すことができたんだと思います。だから、新見さんがガンガンきてくれたのが、本当によかったんだと思います。

―― なるほど、遙佳以外にもヒロインがいるわけですが、このインタビューが掲載されている時は、各ヒロインのルートに入っているところです。島アさんが思う見どころみたいなものがあれば教えて頂きたいんですが。

島ア 新見さん編が終わって、次は実原編、次は室戸先輩編と個別ルートに入っていくわけですが、やはり一番大きいのはヒロインごとに作品の雰囲気がガラっと変わることだと思います。もちろんさっきまで話していたアングルの素晴らしさだったりは変わらないのですけどね。まさにゲームの各ヒロインの個別ルートを進んでいる、と思っていただくのがよいと思います。それに対応して、やはりだっつんの性格も変わっていきますし、その変化を楽しんでいただければ嬉しいです。それに、それぞれ凄くいい話なんですよ。さんざん今まで「シャッターチャンスだ!」とやってきましたけど(笑)。

―― 毎回最終回という感じですよね。

島ア ただ、そのいい話の中で、やはりギャップの面白さの部分はしっかりと残っているんです。ひとつの話の中でもコメディから青春からシリアスからの変化がいっぱいあるので、盛りだくさんで楽しんでいただける作品だと思います。僕ら自身も、毎回本当に楽しく収録させていただいてます。そして、今回アニメ『フォトカノ』を見て、この作品に興味を持ったり、もっとキャラクターのことを深く知りたいなとか、自分もだっつんのように撮影したいと思っていただけたなら、是非Vita版の「フォトカノKiss」をプレイしていただけましたら本当に嬉しいです。

―― そうですね。

島ア ジャイロモードという、現実にカメラで撮影するのと同じように自身で動いて撮影できるモードもありますし、絵もとても綺麗で、女の子も本当に可愛いんです。写真も、爽やかな写真だけを撮ってもいいですし、ギリギリのエロスを狙ってもいい。自分に合ったプレイスタイルで楽しんでいただけると思います。今回アニメでだっつんは写真部に入りましたけど、フォト部に入ることもできたりします。是非「フォトカノKiss」もプレイして、それぞれのヒロインたちをもっともっと愛していただければと思います。「みんなも一緒に、シャッターチャンスだ!」

―― おお、爽やかですね。ありがとうございます。

島ア ちなみに果音がいれば「エッチな写真ばかり撮っちゃダメなんだからね!」って補足があると思います(笑)。

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